Dockerが企業ユーザー向けに事実上の課金プランを発表
以前からDockerはプラン変更を行うと通告していましたが、ついにその内容が発表されました。
しかし、一定規模以上の企業は契約が必須になるなど若干Docker側に有利な内容になっているように思える箇所もあり、Web開発にとどまらず、開発現場では積極的に利用されているツールの規約変更で一部の企業は影響を受ける形になりそうです。
しかし個人ユーザーは一定の条件がありますがDockerDesktopを含め引き続き無料で利用すること可能です。
対象はDocker Desktop
また記事中で対象ははあくまでもDocker Desktopが対象であると、何度も強調されています。
しかし利便性の面で開発においてDocker Desktopを利用しないというのは正直考えにくいように思います。
個人ユーザーは無料のまま利用出来る
現時点でDockerのBlogによると半数以上は個人ユーザーであるPersonalプランでの利用であるとしています。
つまり個人的に利用している私のような個人開発者はこのプラン変更による影響は受けません。
また教育や非営利目的での利用もPersonalプランが利用可能としているため、大学のような教育機関やNPOは対象外となるようです。
個人的には現在のDockerのシステムが、ビジネス的に開発市場で寡占状態となっている必要があり、ここまでは有料化に踏み切る事がためらわれたのではないかと思います。
どの規模から対象か?
2つに分かれており、従業員が250名以上の会社もしくは売上がUS$10M以上の会社であれば利用有料プランの契約が必要になります。
2021/08/31時点のレートで10Mは日本円でおよそ11億円になります。
これはどちらかの条件を満たした場合のとなるため、数名のユーザーしかDocker Desktopを利用していない場合でも会社規模が大きい場合は契約が必要となります。
規模と有料プランの必要性
また企業でも有料プランが必要になる使い方をしているかというと、全ての場合において必要とは言えないケースも多くあり、このDockerのプラン変更はそれらの機能が不要である企業への押し売りではないかという問題もあります。
もちろんDockerのビジネスとして収益が必要であることは十分に理解出来ますが、会社規模による一律有料サービスへの変更が必要となる変更は若干波紋を呼ぶように思います。
契約プラン
Dockerでは以下の4種類のプランを選択することができ、Personalプランに当たる個人ユーザーは引き続き無償で利用を継続することが出来ます。
仮にユーザー数を250人とし1年間払いした場合、毎月で割ると以下になります。
- Pro : $5 x 250 = $1,250(137,731円)
- Team : $7 x 250 = $1,750(192,824円)
- Business : $21 x 250 = $5,250(578,473円)
売上が11億円以上、もしくは250名以上の従業員がいる企業にとってはそれほど高い金額とは思えませんが、これまでは無料であったものが有料になるというのは、契約形態を含めある程度影響を与えるものと思います。
そもそもPersonalしか使ったことが無いのでどのような形なのかわかりませんが、ビジネスプランではリモートでのDockerサービスのコントロールや、各ユーザーがアクセス可能なイメージを制限出来たりと、会社として脆弱性があるイメージやライセンスや政治的な理由で社員に利用してほしくないものをコントロール可能となっているようです。
また今後のロードマップも公開されています。
課金開始は2022年1月31日
この契約(Docker Subscription Service Agreement)自体は即日適用されますが、猶予期間として2022年1月31日までに一定規模の企業ユーザーは有料プランへ移行が必要となります。
Docker互換サービス
Docker Desktopはたしかに洗練された便利なツールであるように思いますが、他にもいくつかの選択肢があります。