Raspberry Pi Pico W登場
ラズベリーパイPicoシリーズは通常のラズベリーパイとは異なるコントローラー用途のラズパイです。Pico Wでは単体で無線LAN接続が可能になりました。
ざっくりまとめると
現時点でのサポートは 2.4GHz 802.11n wireless LAN のみでBluetoothはサポートされていません。
Raspberry Pi Picoとは
通常のラズベリーパイはModel Bと呼ばれるもので、Linuxが動作する小さなコンピューターです。
それに対して、Raspberry Pi PicoはOSが動作しておらず、プログラムの実行のみ可能であるため、C/C++やPythonなどの言語で処理を記述します。
そのため開発を行う際は単体では利用ができず、別PCから利用する必要があります。また、Picoのコアとなるチップ(RP2040)は、チップ単体でも発売されており、ホビーユーザーや企業等が製品を開発しています。
Model B以外にも、小型化したZeroシリーズや、組み込み向けにモジュール化されているComputeModuleなどがあります。
それに対して Raspberry Pi Pico はOS等は動作せず、外部センサーや機器の制御に特化した製品です。
低価格かつ、コントローラーとしては高性能なCPUを採用し、PIO等の便利な機能を搭載しています。さらにはオーバークロックも可能です。
誰も定格で動かしてないんじゃないかと錯覚するほど・・・
無線LAN
これまでPico単体では残念ながらネットワークへ接続することができなかったため、開発者が独自にネットワーク接続を行うハードウェアを実装するか、RaspberryPi等と組み合わせて利用する必要がありました。
しかし設計と実装には比較的高度なハードウェアとソフトウェアスキルが要求されるため公式からこのような統合された製品が発売されたことにより幅広いユーザーでの利用が期待できます。
また、無線の機能はCYW43439チップが採用されており、無線機能を持たないRaspberry Pi Picoと同一サイズ基板になっています。
このチップは Wi-Fi 4 (802.11n) と Bluetooth® 5.2 をサポートしていますが、現時点ではBluetoothは無効化され利用することができません。RaspberryPi公式記事では今後有効化される予定になっているようです。
Bluetoothが有効化されたら、ワイヤレスキーボードとか作ってみたい。
商用利用も可能
Picoのソフトウェア開発はSDKを利用しますが、このSDKで無線チップを利用するためのlibcyw43ライブラリが採用されています。こちらのライブラリは通常は商用利用不可ライセンスとなっていますが、Pico WやRP2040を利用した場合は商用利用可能なライセンスが適用されるように調整されているようです。ナイス。
ソフトウェアのライセンスは開発に大きなインパクトを与えます。商用利用可能なライセンスは企業にとって選択しやすいものになります。
ドキュメントも充実
ラズベリーパイらしくドキュメントもかなり充実しています。サンプルのソースコードや実装例等もあり、優しい印象を受けます。
日本でも発売開始!
技適の都合により販売から時間がかかりましたがついに日本でも発売が開始されました。しかしながら価格が 1,200円程度となっており若干価格は高く感じます。
技適の仕組みもうちょいなんとかならないのか・・・
IoT機器としての利用
競合製品としてESP32等がすでに存在し、価格的にもかなりの強さがあります。しかしRaspberry Pi Pico Wでは競合よりも高性能なCPUやPIOなどの強みがあり、これらを活かしたIoTデバイスの道を切り開いてくれる事を期待しています。
References
- Raspberry Pi Pico W: your $6 IoT platform https://www.raspberrypi.com/news/raspberry-pi-pico-w-your-6-iot-platform/
- Connecting to the Internet with Raspberry Pi Pico W https://datasheets.raspberrypi.com/picow/connecting-to-the-internet-with-pico-w.pdf